ブロックチェーンに対する期待と実態の乖離
発行年 : 2021年
リンク
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsim/41/1/41_28/_pdf/-char/ja
内容
- ブロックチェーンには中央集権的な管理組織は存在せず、相互に監視し合うことで改ざんを防いでいる
(ルパン三世の劇場版で、銭形警部がお宝を透明な気球に乗せて、ルパンからの盗難を防ぐシーンとブロックチェーンの仕組みを著者は結びつけている。) - データ改竄を見つけるのに都合がいいため、ブロックチェーンはハッシュ関数を使用
- 参加者が多いと、改竄の辻褄合わせに多量の労力と時間を要するため、改竄するのではなく監視する側にいるのが合理的となる
- しかし、現時点ではブロックチェーンは普及したとは言い切れない、ユースケースは多数あるものの、インセンティブ設計とビジネスプロセスとの結合、2つの理由で普及していないのではないか
所感
- ブロックチェーンは持て囃された一方で、確かに普及していないと実感する
- 自身の領域であるサプライチェーンの領域でも使えると謳われていたが、結局モノになったケースを見たことがない
- ビジネスプロセスとの結合という指摘は個人的には目から鱗だった。何かしらの企業がブロックチェーンをビジネスに活用したいと思っても、その企業の中にはブロックチェーン上に存在していないシステムが存在している、ブロックチェーンと社内システムのインタフェースが攻撃者に狙われるのでは?ということである
- 実際に社内を見渡すと、スクラッチで作ったレガシーシステムが数多く残っている、それらがブロックチェーン上の仕組みと問題なくつながるのか?と思うと、疑問を持たざるを得ない