中国自動車業界レポート(2022年12月)
発行組織 : みずほ銀行
発行日 : 2023年1月19日
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https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/world/info/cndb/economics/others/pdf/R425-0076-XF-0103.pdf
内容
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2022年はコロナや半導体といった向かい風があれど、政府の振興策もあり、2022年の総台数は2021年を上回った
- 会社別シェアでは、BYDが初めて年間首位に立った、前年比100%超えという驚異的な数字
- 総台数は2021年より伸長しているが、日系メーカー、特にホンダと日産のシェアは純減
所感
- 2022年の中国はまさにLocal EVの年だったと思う
- EVは売れているがハイエンドの価格帯が売れているわけではなく、10万元〜15万元のメインストリームが売れている、つまりは顧客の財布の紐自体に変化はない、顧客の志向がICEからNEVに強烈にシフトしている
- 中国のNEV10傑における高級車はTesla Model Y, 3ぐらいである、他の外資OEMもハイエンドEVを出しているが、既存の延長線にあるようなEVでは顧客の購買意欲を刺激しないのではないか?
- 中国という市場はこの1-2年で極めて難しいマーケットになったと考える、多くの外資企業がJVで進出しているが、成長戦略を描けないJVは再編があるかもしれない
IoT、DXは産業・経営の現場で、 どう実装されつつあるのか
発行団体 : 旭リサーチセンター
発行年月 : 2020年8月
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https://arc.asahi-kasei.co.jp/report/arc_report/pdf/rs-1050.pdf
<内容>
- 産業/経営の場で実装されているIoT、DXの実例をまとめている
- 製造では、深層学習や画像学習を用いたプラントの挙動予測
- 物流では、アパレルのRFIDや倉庫内のロボット
- 結局カンコツ経験に頼っていた人の現場仕事を代替するところで積極的に使われている
<所感>
- 製造・物流領域では、昨今の人不足も相まり、現場への設備導入というのは積極的なのかもしれない
- 一方で、ロボットやAIに頼るということは、今まで人が担っていた仕事をどんどんデータに置き換えていくということである。データへの置き換えがうまくいけば、企業のスループット向上につながると思うが、うまくいかなければ企業の生産性は落ちると思う
- そのような状況を考えると、デジタルと現場仕事を両立し、両側面を行ったり來たり出来る人材がこれから貴重になるのだと思える
- しかし、そのような人材は事業会社にいるよりはソリューションを売るコンサルに行った方が、給料は高くもらえると感じている。旧来の日本企業は、デジタルと現場を兼ね備えた人材に対して、より高度な報酬を出さないと人に逃げられるのでは?と思ったりする
サプライチェーンの"遅れ"を生じさせるのはリードタイムだけなのか?
著者 : 河合亜矢子、大江秋津
発行日 : 2017年3月
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https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasmin/2017s/0/2017s_233/_pdf/-char/ja
<内容>
- 一般的にはサプライチェーン発注元の振れは、ブルウィップ効果と言われる減少により遅れてサプライチェーンの発注先に波及する
- サプライチェーンの参加者間による情報共有度合いにより、サプライチェーンの遅れが助長されると仮説を持った著者はサプライチェーンゲームを通じて、情報共有度合いがサプライチェーン全体の在庫量に与える影響を調査した
- 調査した結果、プレイヤー(メーカー、卸売、小売)間で情報共有を禁止した時より、情報教育を解禁した時のほうが各層間でのズレが解消される傾向を見た
<所感>
2021年度乗用車市場動向調査
発行団体 : 日本自動車工業会
発行日 : 2022年4月20日
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<内容>
<所感>
- 都市部において新しくクルマを保有する気にさせるトリガーはライフステージの変更ぐらいしかない、具体的に言えば結婚して子供ができないと、都市部の若者はクルマを必要としない
- 女性や高齢者は安全に対する意識が強い傾向、自動運転を欲しいという数字は高くないが、自動運転機能を構成するADAS装備は見せ方によっては、女性や高齢者を惹きつけるトリガーになるのでは?
- EV充電は自宅充電の意向が最も強い、そうなると地方の2台目需要を狙った日産・三菱の軽EVはかなりドンピシャな印象
- 日本の自動車市場はもう頭打ち、新車台数を増やすための策はもうないように感じた、極端なことが出来るとしたら、買い替えサイクルの短期化を強制化したり、雇用人員が多い製造業の地方移転を促進しまくるしかないのでは?と感じる
The Lithium Supply Crunch Doesn’t Have to Stall Electric Cars
発行組織 : Boston Consulting Group
発行日 : 2022年8月23日
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<概要>
- 現在は半導体で自動車サプライチェーンが乱れているが、EVの市場シェアを増えた2028年頃にはEVのバッテリーに使われるリチウムの供給が足りなくなる
- アメリカのインフレ抑止法に代表されるように各国はバッテリーの地産地消化を推進する傾向にある
- リチウム採掘は環境への悪影響もあるため、環境への影響も乗り越えられるようなイノベーションが必要である
<所感>
- バッテリーの地産地消が進む世の中に異を唱えるつもりはないが、バッテリーの供給が本当に十分なものになるのかは少し怪しく感じる
- EVシフトするのはいいけれども、供給が追いつかないことにより、EVシフトのスピードは落ちるかも
- リチウムの獲得手段の一つとして、既存バッテリーのリサイクルも一例、すでにリサイクル子会社を持っている日産は新しいサプライチェーンを手早く構築出来るのか?
- バッテリー鉱物の原産証明はどうなるのだろうか、EVバッテリーのリサイクルはリサイクル工場の場所で決まるのか気になっている
- リサイクル工場の場所で決まるのであれば、アメリカのインフレ抑止法の対応策の一つとして、リサイクルのフル活用はあるかもしれない
Pricing during inflation: Active management can preserve sustainable value
発行組織 : Mckinsey
発行日 : 2022年8月19日
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<概要>
- インフレはどの企業でもホットなトピックとなっている
- 欧州のB2B企業の動向を見る限り、インフレに対して、activeにpricing対応取っている企業は売上高・利益ともに好影響を取っている
- Pricingに対して、主導権を握るには、Short term / Mid term / Long termの3次元が存在
- Short termはビジネスのトリアージ、Mid termは支払い能力のある領域の発見、Long termは将来のイノベーションと合わせて新しいPricing方法を設定すること
<所感>
- 支払い能力のあるという観点は納得、今の業務では足元のインフレをどう価格反映させるか検討しているが、一律何%みたいな話になりがち
- 支払い能力がある層に重みづけして、回収するというのは理に適っていると思う。一方、支払い能力がある層を適切に見つけることが極めて重要。
- そういう意味では、市場調査部門はインフレ対策における支払い能力顧客クラスタ分析みたいなことが出来るのではないか?